紅葉が始まりかけた雑木林の中。ふと足元を見ると2~3枚の葉とまだ緑色のドングリを付けた小枝が1個落ちていました。一見、何の変哲もないただの小枝ですが、これは風などで落ちてきたのではありません。枝の切り口はスパッとナイフで切ったかのよう…、この枝を落とした生き物がいるようです。
よく見ると、ドングリには1カ所小さな穴が空いています。それはゾウムシの仲間、ハイイロチョッキリが卵を産むために開けた穴でしょう。ハイイロチョッキリは、まだ未熟でやわらかいドングリに長い口で穴を開けて卵を産み、さらに口で枝を切って地上に落とすのだそうです。枝を切り落とすのは、植物が傷つけられることに抵抗して出す毒から逃げるためではないかと考えられています。そして、卵はドングリの中で孵化して幼虫になり、土の中でサナギになって越冬します。
ドングリの穴には、実は虫たちの生きていくための知恵が見えるのですね。ナナカマドやブナの実が熟れ始めると、虫や鳥・動物達も冬を越す準備に忙しく動き回ります。生き物たちの知恵を三瓶に来て探してみませんか。
FROM:しまさん